2006年10月17日
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ピアノの音が違って聞こえるのはなぜだろう……・TVドラマ「のだめカンタービレ」第1話を見て思ったこと

Written By: 川俣 晶連絡先

 TVドラマを真面目に見たのは久々という気もしますが。

 フジテレビののだめカンタービレの第1話を見ました。

 内容は割と良かったと思います。変な人たちの交流の話……という側面が、スカッと突き抜けていたので。

 それはさておき、特に思ったのは、オケやピアノの音が違って聞こえる……ということでした。

 何となく、テレビから聞こえる「オケやピアノの音」とはこういうものだ……という先入観があったのですが、それとは違う生々しくも魅力のある音が聞こえたのでした。

ピアノの音は弾き手で変わる §

 ピアノの音を聞きながら思い出したことがあります。

 今だから告白しましょう。

 中学生時代、音楽の時間の前の短い休み時間などに、小柄のクラスメートの女の子がこれから授業を行う音楽室のピアノをよく弾いていました。数名の友達の女の子達がまわりにいて、彼女らに聞かせながら。

 実は、こっそりピアノの方を見ないようにして、その音をよく聞いていました。

 それはなぜか。

 歴然と違う音が出ていたからです。

 音楽教師が弾くピアノの音とも違うし、ピアノを習っていた妹が弾くピアノの音とも違います。

 特に、音楽教師が弾くケースに関しては、同じ音楽室の同じピアノを弾いているわけですから、驚きも大きくなります。

 つまり、ピアノというのは表現力の幅がとても広い楽器であり、それなりの意志と技量を持った弾き手が扱えば、多様な感動を聞き手に与えうる凶悪な音楽装置であると言うことです。

 それを痛感させられた出来事です。

TVを通して再現される出来事 §

 とはいえ、そういったハッとさせられるピアノの音というのは、生で聞くのでなければ無理だろう……という先入観を持っていました。

 しかし、「のだめ」を見ていると、そうではないことに気付かされました。

 音の魅力とは、単純に音が忠実に伝われば届くというものではないのでしょう。

 TVを通してでも、伝わるものは伝わる……ということなのでしょう。

 ならば、はたして「音の魅力の本質」とは何か?

 いったい凡庸な音と魅力ある音の差は何か?

 これが宿題として残った感じがあります。

 いつか、その差についての自分なりの解釈を出さねばならないでしょう。